Sora2が開けた扉。DTLS1.3の誤解、実存とAI、そして減量のリアル

Sora2が開けた扉。DTLS1.3の誤解、実存とAI、そして減量のリアル

今週もジムへ向かう車内から、竹内(@rikson_en)と僕のゆるいテック雑談をお届けします。

まずはいつも通り、番組へのお便りにお礼をしつつ、前回の技術的な訂正からスタート。 そのままSora2の初見レビュー、アプリ開発の進捗、竹内の減量近況まで、一気に駆け抜けました。

お便りに背中を押されて

収録の冒頭はリスナーからの声で温まります。
そたくんからは収録と編集への労い、そして最新話への期待のメッセージ。 前回のエピソードタイトルである減量と分散システムに寄せて、技術と減量を同じ目線で語る視点が面白い、耐性ノイズ設計が大事という感想も届きました。

もう一件は時雨堂の社長として知られるVさんから、僕が書いた技術メモへの丁寧な指摘。一次情報としてWiresharkのキャプチャまで示した上で議論を深めてくださり、本当にありがたい限りです。

DTLS 1.3の訂正と学び

前回、Chromiumの更新でDTLSが1.3に固定され、1.2前提のサーバーでは握手が成立しない、という書きぶりをしてしまいました。これは誤りでした。ChromiumのlibwebrtcはClientHelloで1.3と1.2の両方を提示するため、サーバーが1.2までの対応でも通常は1.2へとネゴシエートされて握手は成立します。

では、なぜ僕の環境で接続に失敗していたのか。可能性としては、Extended Master Secretの扱いが一致していない、DTLS-SRTPの保護プロファイルが揃っていない、使用する暗号スイートの選定が噛み合っていない等といったミドルウェア側の不具合・実装差異が考えられます。 竹内からは、一次情報まで添えてくれた指摘に対して、再現検証や情報共有という形で価値を返したいという提案。

守秘義務の線引きは悩ましいところですが、案件名や固有名詞を伏せた上で技術的知見を外に残すことは、コミュニティにとって意味があると僕も感じています。 訂正はゴールではなく、次の検証への入り口。訂正と検証を対で回す姿勢を、ここで改めて肝に銘じました。

Sora2を触ってみた初見

話題は一転、動画生成AIのSora2へ。

招待制のクローズドな運用ながら、Qiitaのコメントで共有されていた招待コード経由で試すことができました。Sora1を短期間使っていた身からすると、Sora2は精度と一貫性、そして使い勝手が段違いです。Sora1ではカットが変わるたびに顔の崩れやディテールの破綻が目につき、パーツ使い前提のガチャ感が強かったのに対し、Sora2はそのままミュージックビデオに差し込めるレベルのショットが安定して出てきます。

現状の生成尺は最大20秒。 アプリ経由の出力にはウォーターマークが入りますが、将来的にAPI公開が進めばワークフローの選択肢は広がりそうです。学習データの出自をめぐる議論や調整が続いている点にも触れつつ、僕たちが感じたのは、プロンプトエンジニアリングの重心が絵コンテ寄りに移っていることでした。秒数、被写体、カメラの動きや画角、光の状態をJSONのように構造化して渡すと、出力の安定度がぐっと上がる。

生成の民主化が進むほど、じゃあ人間の価値はどこに宿るのかという話にもなります。

VTuberの中の人の存在感、オートチューンをめぐる真贋の話、AI作品の真正性。 竹内は裏側に実在の人間がいて作家性が継続していることが、作品とファンの関係を固定化し、希少性を育むと考えているようです。無限に回せるガチャより、そこに立ち続ける誰かを信じられるかどうか。 Sora2は、その問いを前に進めるための強い道具になりそうです。

竹内のアプリ開発、山場越えからAI連携へ

竹内の個人開発も順調に前へ。

先週の山であるデータベース連携はクリアし、クライアント周りは最小限ながら接続は安定。
今はOpenAI連携の実装段階で、エージェント層の候補だったMastraやGraphAIを調べつつ、まずはVercel AI SDKで素早く組み立てています。 React NativeやNext.jsといった複数クライアントへの展開が見えやすく、サンプルを動かしてから本実装へスムーズに進めている様子。

普段のコーディングにはClaude Codeも併用。Sonnet 4.5のアップデート体感はこれからですが、毎回同じタスクでの比較検証をしていない分、良し悪しの判断はあえて保留。人とAIの分担をこまめに切り替え、手で直すべきところは手を動かしながら進めるという、いつものスタイルです。

減量の現在地と最終調整

減量は週平均で57キロ台へ。瞬間値で57.2キロを記録しつつ、タイミング次第で58キロに戻るなど、数字は水のように揺れています。

目標はフェザー級のレンジですが、申込用紙には56〜60キロの幅で希望を出しており、 相手次第で階級が前後する見込み。直近2週間は塩分調整と運動量の増加で落とし切り、必要に応じてサウナや半身浴、有酸素での水抜きを織り交ぜて微調整する計画です。

無理はしない、でも甘えない。競技と健康の交点を外さないことがいちばん大切だと、竹内は静かに語ります。

まとめと次回へのひとこと

第56回は、コミュニティからの指摘を出発点に、訂正と検証をきちんと回す技術の姿勢を再確認し、Sora2という新しい道具を絵コンテ型プロンプトで乗りこなす手応えを共有しました。

開発は最小実装で走らせながら前へ、減量は揺れる数字を受け入れながら最終局面へ。

生活と技術を行き来するこの番組らしい往復運動になったと思います。 次回は、Sora2で実際に作ったショートのプリプロセスや、Vercel AI SDKの実装メモをもう少し具体的に持ち寄る予定です。

お便りは引き続きXのハッシュタグ #WeAreOnTheWay まで。実装のハマりどころや減量のコツ、Sora2のプロンプト実験など、ゆるくでも熱量高めにお待ちしています。

参考リンク